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榛名山麓流星電波観測所
観測システムについて
お知らせ
はじめに
私が流星電波観測を始めたのは2007年のことで、アマチュア無線機での53MHzHROが最初でした。その後PCR-1500を購入し、継続して観測をするようになりました。
そうした中で2010年の夏は忘れらません。その日の夕方HROFFTの画面を見ていると雷ノイズが次々に記録されるようになりました。危ないかなと思っていたら突然「パーン」という音がしてモニターの画面が真っ白になり、LANのコンセントが吹き飛んで煙が立ちこめたのです。しばらく呆然としていました。調べてみると、電話機やモデム、パソコンのほか、PCR-1500、無線機など10台以上の機器がやられていました。どうやら電話線から雷が入ったようで、壊れた機器の内部を見るといずれもスパークのあとがはっきりと残っていました。
その後しばらく観測から遠ざかっていたのですが、2017年にSDRやVORのことを知り、Nesdr SmartとFMアンテナ(DX-FA5)でVORの受信を始めました。そうしているうちに出力の大きいFMならばもっとエコーが入るのではないかと考え、FROに変更し沖縄などのFM局の受信を始めました。また、2018年の8月からは杉本さんに教えてもらいRMOBにアップロードできるようになりました。FROを実際にやってみると、エコーなのか混信なのか区別しにくいものが多くエコーのカウントが思った以上に手間がかかることを思い知らされ、2020年の1月にはFROを一旦諦めてアンテナをVOR用に
改造し、再びVORでの観測に戻しました。しかし、FROにもまだ心残りがあったのでまたアンテナ(マスプロFM-3)を購入して始めると、その年の7月偶然にも89.4MHzで桁違いの明瞭なエコーが受信できることを見つけました。その後同様の周波数が他にも見つかり、現在はVORと92.8MHzでのFROも含めて3波での観測を行っています。
受信周波数
89.4MHzについては当初FM京都(3kW)と思っていたのですが、距離が近い割に航空機のエコーが少ないことや、他の同じような条件のFM局よりも格段にエコーが多いなど疑問な点もありました。また、その後見つかった92.8MHzについても当初は鹿児島の南日本放送(1kW)と考えていましたが、京都よりも距離が遠く出力も小さいのにエコー数があまりかわらないのが不思議でした。しばらくしてSDRSharpの画面上で、92.8MHzと同じタイミングでエコーが出る92.5MHzも同様の電波であることが確認できました。そのすぐ後、北朝鮮にこれらの周波数を含む100kW局があるという資料が見つかり、電波のもとは北朝鮮の局だったのかと一時納得していたのでしたが、Esで観測された電波のほとんどが無変調キャリアだったことや、その後見つかった資料などから、これらの電波のほとんどは北朝鮮の韓国向けFM放送を妨害する目的で韓国(ソウル)から発射されている無変調FM波と判明しました。周波数は89.4MHzの他に、92.5MHz、92.8MHz、93.6MHz、97.0MHz、97.8MHz、102.3MHz、103.7MHzなどがあります。通常のFM放送とは異なり変調がかかっていないので圧倒的にエコーが多く、さらに24時間切れ目なく電波が出ているのもFROには好都合です。なお、89.4MHzでは7〜9時、13〜15時 21〜23時とその前後に北朝鮮の電波(韓国と同じ20kW程度と思われる)によってエコー数が増加します。なお、関東方面だとスカイツリーからの90.5MHzと91.6MHzが放送休止時間帯(月曜2〜5時)に相互変調妨害を発生しエコーが増加します。加えてFM京都や相互変調妨害による航空機エコーも見られます。こうした場合状況によってはRMOBデータの調整を行っています。92.8MHzでは混信等はたいへん少なく安定した受信ができています。さらに2022年7月から垂直偏波に変更したことでエコー数が89.4MHzとほぼ同等になりました。VORについては2020年11月まで青森(114.1MHz)を受信していましたが、ノイズがひどくなったために、12月から関西(111.6MHz)に切替え、その後いくつか変更した後、2022年1月からは串本VOR(112.9MHz)の受信を始め、今のところ安定して受信できています。
(2024年1月11日 残念ながら韓国のFM無変調波は全て停波しました。今後FROを試みるには、国内の混信がない95〜108MHzで韓国・中国・ロシア等の放送波を利用するのが最善でしょう。)
アンテナ
2021年9月現在の写真です。左上から時計回りにVOR用のDXアンテナFA5(改造)5エレ、89.4MHz用の3エレ(マスプロFM-3)、92.8MHz用の5エレ(マスプロFM-5A 現在は垂直偏波に変更)、72.08MHz用の自作4エレです。なお、設置場所はプレハブの2階の屋上(地上高6m)で、テレビ用の屋根馬にマストを立て四方にステーを張っています。アンテナ方向は3本が西向き、72MHzは北北西に向けています。 アンテナケーブルはS-5C-FB(72MHzのみ5D-2V)で長さは15mです。アマチュア無線のケーブルを通すために開けた壁の穴から室内に引き込んでいます。いつの間にかアンテナが増えてしまいましたが、72MHzはロシア局用で、遠からず廃止される予定なのでその後は色々と変えていくつもりです。(2021年10月28日に停波したため、AF-4に変更)
SDR
SDRドングルは、NooelecのNesdr Smartを4本、アルミアングル材を使って壁面に固定しています。アンテナ側ケーブルはM型接栓で、M-SMA変換アダプタでドングルと接続しています。75Ωと50Ωで整合がとれていませんが、アンテナとドングルを入れ替えて確認するときなどにM型は確実で安心です。ドングルはかなり高温になります。しかし、壁面との間に少し空間があり、アルミアングル側にも熱が多少逃げるので今のところ問題はないようです。なお、現在はFRO用のSDRの前にアマチュア無線機からの電波の回り込みを防止するために、FM放送帯用のバンドパスフィルタを挿入してあります。
パソコン
観測用パソコンにはエプソンのEndeavor ST-170Eを3台と自作のPCを使用しています。エプソンの3台はどれもWindows7から10にアップグレードした中古品(Core i5 4200M 8GB)ですが、SDRSharpやHROFFTなどのソフトを同時に立ち上げていても、通常の使用では問題はありません。発熱が少なく小型なので複数台の使用ではメリットになっています。ただ長期間(約2週間)連続で使用したり、アップデートで負荷がかったり、EsなどでHROFFTに負担がかかる状態が続くとHROFFTがハングアップしてしまいます。自作PCの方はWindows7なのであまりそういう様子は見られません。なおWin10パソコンはタスクスケジューラ(Win7機はフリーソフト)で1日1回の自動時刻合わせを設定しています。
フォルダ
各パソコンのCドライブにHROフォルダを設けて主要なソフトをまとめ、自動的にデータが送信されるようにしています。まず、EHROFFTフォルダにあるHROFFT.exeが10分ごとに画像ファイルを作ります。MTBasicプログラム(杉本さん作成)はEを監視し、新しいファイルができるとファイル名をJSTに変換した画像ファイルを作成してFHRO-JSTフォルダに保存します。同時にもとのファイルをGHRO-RMOBフォルダに保存します(オリジナルでは一定時間後に削除)。@COLORGRAMMEはGの中の画像ファイルを10分ごとに読み取り、エコー数をカウントしてデータをRMOBサイトに送信します。BFTPの中のaut-ftp.bat(小川さん作成)はFHRO-JSTを1分ごとにチェックし、新しい画像ファイルをHPのLIVEページにFTPします。LのSeqdownload.exeは@のColorgrammeが作るカラーグラフを1分ごとにCFTP-2とKRMOB-GRAPHにコピーします。CFTP-2のaut-ftp.batはカラーグラフをHPにFTPします。
メンテナンス
こちらは毎朝9時頃と気づいたときに手作業でやっています。GHRO-RMOB内のHROFFT画像をチェックし、ノイズなどで異常なカウント数になったファイルをマニュアルカウントし、同じエコー数のファイルと置き換えます。その後ColorgrammeのDataフォルダを削除してColorgrammeを再起動し、新たなデータをRMOBに送信します。 IJST-OLDの中にある画像の中から20秒以上のロングエコーをHJST-LONGにコピーします。特に長いロングエコーはNV-LONG ECHOにコピーし、後でHPのロングエコーのページにアップロードします。そのほかACOLORGRAMME-SUBは、Rmob survey用にEs等でデータを取れなかった時間に推定値を入れたRMOBファイルの作成用です。JMassiGra045は画像ビューアです。Win10のフォトがあまりに使い勝手が悪いのでこれを使っていますが、マウスのホイール操作で画像が送れるのでとても便利です。DHRO-DATAには過去のデータが保管してあり、KRMOB-GRAPHには毎日最後のRMOBカラーグラフが保管されていきます。後々何か役に立つでしょう。 (2022年9月一部改訂)
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